9月13日 涙の谷と、泉

彼らは涙の谷を過ぎるときも、そこを泉の湧く所とします。初めの雨もそこを大いなる祝福でおおいます。《詩篇 八十四・6》

今朝の聖句は、一人の人の戴いた慰めが、しばしば他の人にとっても役立つとういことを教えている。それはあたかも、水を求めて掘られた「」が、後に続く人々の渇きをいやすために用いられるのと同じである。

私たちは、聖書の中の或る書を読む時、大いに慰められる。その慰めとは、次のようなことである。ペリシテ人との戦いの中にあったヨナタンが、「手にあった杖の先を伸ばして、蜜蜂の巣に浸し、それを手に付けて口に入れた。すると彼の目が輝いた。《Ⅰサムエル 十四・27》」そのように、一口蜂蜜を口にしただけで、生気がみなぎるような慰めである。

また、主にある私たちの兄弟が、私たちよりも先に「涙の谷」を通り過ぎた。その時、彼らは自分のために「」を掘った。その「」は、私たちにも慰めを与えていると理解している。「泣き明かす夜」、「真夜中の調べ」、「永遠の日」、「神の割り当ての地の詐欺師」、「会葬者への慰め」などの良書は、まさに私たちのために掘られた「」である。天の故郷へ向かい、地上生涯を旅する一人の旅人が、自らのために掘った「」であった。しかし、その「」である良書に触れた読者は、「大いに慰められた」と証している。

更に、詩篇の中では特に、「わがたましいよ。なぜ、おまえはうなだれているのか《詩篇 四十二・5》」ということばで始まる詩篇を読む時、生気がみなぎるような慰めを得る。旅人たちは、人のいない海岸を歩く時、人の足跡を見つけると喜ぶものである。私たちよりも先に「涙の谷を過ぎ」た旅人たちは、道しるべを立てて行った。私たちは、その道しるべを見ることが好きである。

地上では旅人の彼らは、「」を掘る。しかし、不思議なことがある。その「」は、下から湧き上がり満ち溢れるのではない。上からの祝福により、満たされるのである。私たちは祝福を得ようと、多くの手段を用いる。しかし、祝福は、私たちが用いた手段そのものから湧き出るのではない。私たちは井戸を掘る。しかし、天よりの雨が、その井戸を満たすのである。「戦いの日のためには馬が備えられる。しかし、救いは【主】による。《箴言 二十一・31》」手段は目的を達成するためにあるが、手段が目的を生み出すのではない。今朝の聖句を注意深く読みなさい。「そこを泉の湧く所とします。初めの雨もそこを大いなる祝福でおおいます」と、天よりの雨が満ちあふれ、泉を満たし、私たちのために役立つのである。骨を折ることは無駄に終わることはないが、神の助けに取って代わることは出来ない。

恵みは、よく雨にたとえられる。雨は、空と大地をきれいに洗い流す。雨はまた、大地に活力を与え、いのちを芽吹かせる力がある。雨は更に、天からのみ降る。最後に、雨が降るか否かは人の思いによらず、ただ天の主権によるのである。これらの点において、恵みは雨にたとえられる。願わくは、読者に祝福の雨が降り注ぎ、あの旅人たちが掘った「」が溢れるばかりに水をたたえますように。

主よ。天の神が微笑んでくださらない手段や儀式が、何の役に立つのでしょうか。そのような手段や儀式は、雨を降らせない雲であり、水のない池です。愛の神さま。天の窓を開いて、私たちに祝福を注いでください。

注:「泣き明かす夜」は原題「Night of Weeping」。著者はホラティス・ボナー:Horatius Bonar(1808-1889)。彼は、スコットランド自由教会の牧師である。この書は、神の家族のために書き上げた、クリスチャン生活における苦悩を扱った名著。また、ボナーは、多くの讃美歌を書き上げている。その中には聖歌に訳されているものもある。

「真夜中の調べ」は原題「Midnight Harmonies」。著者はオクタヴィウス・ウィンスロー:Octavius Winslow(1808-1878)。彼は、19世紀のイギリスとアメリカにおける著名な福音派の伝道者であった。バプテスト派の牧師で、チャールズ・スポルジョンやJ・C・ライルと同時代に活躍したが、晩年は英国国教会に離反した。

「永遠の日」は原題「The Eternal Day」。前掲のホラティス・ボナー:Horatius Bonar(1808-1889)著者

「神の割り当ての地の詐欺師」は原題「The Crook in the Lot」。著者はトーマス・ボストン:Thomas Boston  (1676-1732)。彼は、スコットランドの著名な神学者、牧師。彼は多くの著作や神学論文を著した。しかし、ボストンはまた、簡潔で非常に読み易い、田園生活を扱った短編小説を書き著した。それが「The Crook in the Lot: The Sovereignty and Wisdom of God, in the Afflictions of Men Displayed:神の全被造物の中の詐欺師:人間の苦難の中に示される、神の主権と知恵」である。この本は、聖書の《伝道の書 七・13》「神のみわざに目を留めよ。神が曲げたものをだれがまっすぐにできるだろうか」のみことばをテーマとしている。ボストンは言う。「私たちの人生には、神によって割り当てられ、受け取るべきものがある。それは即ち、神の摂理である。私たちの人生は、神の摂理によって形作られて行く。詐欺師とは、何らかの方法で私たちを悩ませ、動揺させ、邪魔をする。私たちは予期せぬ苦難を通過する。パウロが《ローマ 八・18》で呼んでいる「今の時のいろいろの苦しみ」を経験している神の民を助けるため、この本を執筆した。

「会葬者への慰め」は原題「Comfort for Mourners」。著者はジョン・クレイグ:John Craig (1512-1600)。彼はスコットランドの牧師。悲しみに暮れる人々に向けた説教集。特に、愛する人を亡くした悲しみに暮れる人々のための説教が、この書に綴られている。

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