「【主】のため、ギデオンのための剣」と叫んだ。《士師記 七・20》
ギデオンは、神がお選びになった三百人に二つのことを命じた。一つは、松明を壷の中に隠したまま敵の陣営の端まで行き、ギデオンが壷を打ち壊して松明の光を輝かしたら、同じことをすること。もう一つが、角笛を吹き鳴らし「【主】のための剣、ギデオンのための剣《英語訳》」だと叫ぶことであった。ここには、正に全てのクリスチャンがなすべきことが語られている。
先ず、あなたは輝かなければならない。あなたの光を隠している壷を打ち壊し、あなたの灯火を隠している枡を取りのけて、あなたの内に与えられている光を輝かせなければならない。あなたの光を人々の前に輝かせるのである。あなたの善い行いを見る人々に、あなたがイエスと共にいるということが分かるようにしなさい。
次に、音を出し、人々が聞けるようにしなければならない。角笛を吹き鳴らすことである。即ち、十字架につけられたキリストを宣べ伝えることによって、罪人を救うため積極的に努力しなければならない。福音を携え、罪人たちのもとに行きなさい。福音を彼らの戸口まで運び、彼らの歩む道にそれを置きなさい。罪人たちが、福音から逃げだすことを許してはならない。彼らの耳元で福音の角笛を吹き鳴らしなさい。
最後に、教会が上げる鬨の声は、「【主】のための剣、ギデオンのための剣《英語訳》」という合言葉であることを忘れてはならない。神ご自身が振るう剣でなければならない。つまり、神ご自身の御業である。そのため、私たちが怠惰であってはならない。私たちは道具を用いて、働かなければならない。「【主】のための剣、ギデオンのための剣」と叫ぶのである。私たちが「【主】のための剣」とだけ根拠もなく叫ぶなら、主の御名をみだりに唱えるという罪を犯すことになる。また、「ギデオンのための剣」とだけ叫ぶならば、肉の力を信頼し、偶像礼拝の罪を犯すことになる。「【主】のための剣、ギデオンのための剣」と、この二つが調和するように混ぜ合わせなければならない。
私たちは自分の力では何も成し得ないが、私たちの神の助けにより全てのことを成すことが出来る。それゆえ、主の御名によって、人間の出来ることを成すため、出て行く決心をしようではないか。即ち、聖潔な生活という松明を掲げ、熱心な宣教と証という角笛を響かせて、主に仕える決心をしようではないか。神は、御業を成し遂げてくださる。主は、私たちと共にいてくださり、ミデヤン人を混乱させる万軍の主である。主は、永遠に統べ治められる。
注:「ギデオン」とは、《士師記 六章~八章》に記される「士師:さばきつかさ」である。モーセの後継者ヨシュアの後から、預言者であり最後の士師であるサムエルによる統治まで、イスラエルの民を導いたのが「士師:さばきつかさ」である。《士師記》の構成は、イスラエルの民の背信→周辺諸国の侵攻→民の悔い改め→士師の登場と民の解放となっている。士師とは、人々をさばくだけではなく、人々を外国の勢力から救い出す「救助者」という存在であった。《士師記》には、代表的な12人の「士師:さばきつかさ」が紹介されている。ギデオンは、5番目の士師である。ギデオンの時代はミデヤン人に苦しめられ、十三万五千人のミデヤンの連合軍が押し寄せて来た。神は、ギデオンを呼び出され、また神に選ばれた僅か300人の精兵によって、この大軍を退けてくださった。
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