6月2日 クリスチャンの内なる戦い

肉が望むことは御霊に逆らい、御霊が望むことは肉に逆らうからです。《ガラテヤ人への手紙 五・17》

全ての信仰者の心の内では、古き人の性質と新しき人の性質とが、絶えずせめぎ合っている。

古き人の性質は、非常に活発に働いている。そして、新しき人が恵みを受け、恵みによって活動することに対抗する。古き人には、致命傷を与えることの出来る多種多様の武器が、豊富にある。その武器を駆使する機会を逃すまいと、隙を窺っている。そして、新しき人が恵みにより成長することを、阻もうとしているのである。

一方、新しき人は、内なる敵である古き人に対抗し、その働きを打ち砕こうと、絶えず目を覚ましている。私たちの内に与えられる恵みは、主から頂いている祈りと、信仰と、希望と、愛とを用い、悪を追い出そうとする。「神のすべての武具」を身に着けて、激しく格闘する。私たちがこの世にある限り、この二つの相反する性質は、戦いを止めることはない。

『天路歴程』に出て来る、「クリスチャン」と「アポリュオン」の戦いは、三時間続いた。クリスチャンの自分自身に対する戦いは、「くぐり門」から「ヨルダン川」に至るまで、絶えず続いた。私たちの敵である古き人は、私たちの内にある要塞の中で、気づかれないように身を潜めている。それゆえ、私たちがこの肉体を着ている間は、この敵を追い出すことは出来ない。私たちは、この敵に包囲されている。時に、激しい戦いに巻き込まれることがある。しかし、私たちには、全能の助け主、イエスがおられる。すなわち、「私たちの救いの創始者《ヘブル 二・10》」とも呼ばれているお方である。主は常に私たちと共にいてくださる。遂には、このお方は私たちに確信を与えてくださる。「私たちを愛してくださった方によって、私たちは圧倒的な勝利者《ローマ 八・39》」となるのである。全能の主が助けてくださるゆえ、新しき人の性質は、敵に打ち勝つことが出来るのである。

今日、あなたは、この敵と戦っているだろうか。サタンが、世が、肉が、この全てが、あなたに敵対しているだろうか。失望してはならない。うろたえてはならない。戦い続けなさい。神ご自身が、あなたと共におられるではないか。「ヤハウェ・ニシ:主は私たちの勝利」という御名をお持ちのお方が、御自身の旗じるしを掲げ、あなたの前を進んでおられる。たとい傷を負っても、「ヤハウェ・ロフェー:主は癒し主」という御名をお持ちのお方が、あなたの傷を癒してくださる。恐れてはならない。あなたは勝利を収める。誰が、あなたと共におられる全能者に打ち勝つことが出来ようか。戦い続けなさい。「信仰の創始者であり完成者であるイエスから、目を離さないでいなさい。《ヘブル 十二・2》」たとい戦いは長く続き、激しくあろうとも、私たちに与えられる勝利は麗しく、約束されている報いは栄光に輝いているのである。

チャールズ・ウェスレーが作詞した讃美歌に書かれている通りである。「格闘し、戦い、祈りつつ、力から力へと進め。闇の力を踏み砕き、勝利の日を己がものとせよ。」

注:「摂理」とは、神が介入してくださり、神の目的や計画に向かって、不思議な方法で人が導かれることを指す。

「クリスチャン」と「アポリュオン」の戦いとは、ジョン・バニヤン著の「天路歴程」の「第十一章」に描かれている。へりくだりの谷を下っている時、悪臭を放つ悪魔が来た。名を「アポリュオン:破壊者」と言った。竜のような翼と、熊のような足、腹からは火と煙が立ち上っていた。口は獅子のようであった。アポリュオンはクリスチャンに戦いを挑み、ほぼ勝利を手中にした所で、クリスチャンの手にした両刃の剣に刺し通され、致命傷を負い、飛び去って行った。

「チャールズ・ウェスレー」の作詞した、ここに紹介されている讃美歌は、日本語には訳出されていない。

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